~小学生、中学生のお子さんがいる保護者で、次のような悩みはないでしょうか?
英検に合格しているのに、中学の定期テストで高得点がとれない。
このブログでは、長男・次男の経験談より、この質問にお答えします。
本記事を書いた人
医師、英検準1級。国際学会にて、英語で討論する機会あり。
小学生の英語勉強法を研究
長男が小学5年生のときに、中学英語の先取り学習を始める
長男は、現在中学3年生になり、中学3年生までの英語(つまり高校受験英語)まで終了している。
長男は、定期テスト、模試を、試験勉強を全くしないで、90-95点をキープしている。
中学生で英語が有利になるだろうと思い、小学生の子供に英語教育を始めようとする保護者は、現在とても多いです。
そして、ほとんどの子供が、「英検合格」を目標にして、英語勉強を開始します。
でも、英検に合格しても、子供が中学になって、保護者は初めて次のように気付きます。
英検に合格しているのに、英語の定期テストで、良い点数がとれない!
本ブログでは、「小学生の英検3級合格は、どれくらいのレベルなのか?」にて、「小学生で英検3級に合格した人のレベル」を解説しました。
長男の友達でも、英検3級に合格しても、中学英語で有利になっているという話をあまり聞きません。
それでは、英検は役に立たないのでしょうか?
そんなことは、ありません。
では、英検に合格しても、なぜあまり中学で役に立たないのでしょうか?
それは、英検を上手に利用していないからです。
その理由を、本記事にて紹介しますね。
英語勉強の目標
さて、英検のことを話す前に、英語を勉強する際の目標は何でしょうか?
中学の定期テスト・模試で、高得点をとる
これが最大の目標では、ないでしょうか?
それでは、この目標を達成するためには、どのようなことを行ったらよいのでしょうか?
定期テストで、英語の高得点をとるためには、次の3つのことをきちんとしないといけません。
(1)英単語を覚える
(2)英文法を理解する
(3)リスニングを鍛える
図で示すと、次のようになります。
「定期テストで高得点をとる」ことが目標です。
「英単語を覚える」「英文法を理解する」「リスニングを鍛える」ことは、目標達成のための手段です。
この際に重要なことは、「英単語」「英文法」「リスニング」を各々を一つずつ習得していくことです。
これを、全部まとめて行おうとすると、どれも中途半端になってしまいます。
このブログでは、「英単語」「英文法」「リスニング」をテーマ別に分けて解説していますので、ご参照下さい。
[英単語]
英単語の覚え方~小テスト
[英文法]
英文法パターンドリル
[リスニング]
[必見]中学英語のリスニングの勉強法~6つの原因とその対策~
英検の勉強の仕方
一方、英検の何が問題なのでしょうか?
それは、英検合格自体が、英語勉強の目標になっている点です。
図で示すと、次のようになります。
それでは、なぜ英検合格自体が目標になっているのでしょうか?
それは、英検合格のレベルの目安を、保護者が信じているからだと思います。
英検5級 「中学1年生程度」
英検4級 「中学2年生程度」
英検3級 「中学卒業程度」
一般的にこのようなレベル分けをされています。
そして、英検の始める子供の目標が、英検3級合格です。
なぜなら、英検3級に合格すると、「中学卒業」程度の英語力がつくからだと思っているからです。
「中学卒業程度」の英語力が身に付けば、中学で英語に困らないのでは?
保護者の皆さまは、このように考えているでしょう。
しかし、そんなことはありません。
誤解をおそれずに書くと、英検3級合格のレベルは….。
中学1年生の1学期の英語勉強の先取りを行っている程度です。
つまり、英検3級に合格していると、中1の4月から7月の間までの、4カ月間のみ英語が有利になるぐらいです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
それは、英検を合格している子供には、以下の特徴があるからです。
(1)英単語が書けない (英語→日本語はできるが、日本語→英語ができない)。
(2)英文法を理解していない。
(3)リスニングは、ニュアンスでなんとなく分かる。
つまり、「英単語」「英文法」「リスニング」の能力が、すべて中途半端なのです。
中途半端でも、英検に合格してしまします。
なぜなら、英検の問題が選択問題であり、合格基準が60%であるため、すべての分野を何となく勉強していれば、合格できるのです。
それでは、各々の分野が、中途半端になる原因を見ていきましょう。
英検の英単語
「英検」は各級に応じた英単語帳を使って、英単語の勉強をすることが多いです。
ただし、問題は「英語→日本語」への変換しかできないということです。
なぜなら、選択問題のため、英語のスペルを覚える必要がないのです。
しかし、「日本語→英語」の変換ができないと、英単語を100%マスターしたとは言えません。
つまり、英単語の習得が、不完全な状態で終わっているのです。
英検の英文法
「英検における英文法の勉強」が、英検での一番の問題点です。
例文を出して、説明しますね。
You play soccer. (あなたはサッカーをします)
否定文は、「You don’t play soccer」
疑問文は、「Do you play soccer?」
となります。
それじゃあ、主語が「He (彼)」に変わったら、どうなるでしょうか?
肯定文 He plays soccer.
否定文 He doesn’t play soccer.
疑問文 Does he play soccer?
まず、「3人称単数」が主語になると、「3単源のs」が肯定文につくようになります。
また、否定文、疑問文も、「do」ではなくて、「does」を使わないといけません。
このような基本的なことが、英検合格者は分かっていないことが多いです。
でも、英検では問題ありません。
なぜなら、英検は選択問題のため、なんとなく英文法が分かっていれば解けます。
つまり、英文法の習得が、不完全な状態で終わっているのです。
英検のリスニング
「英検合格だけでは、英会話がうまくなれない理由~その3」で述べたように、英語のリスニングはすべてが聴きとれなくても、正解にたどり着くことができます。
例えば、リスニング問題で、以下の解答があったとします。
(1)He will play tennis.
(2)He will eat lunch.
(3)He will study English.
(4)He will go to sleep.
(5)He will watch the movie.
そして、リスニング問題で、ほとんど聴きとれなくても、例えば「library (図書館)」という英単語のみ聴きとれたとします。
そうすると、正解は「(3)He will study English.」になるのは、何となくわかると思います。
実際に、英検に合格している小学生のリスニング能力は、この程度です。
つまり、リスニングの習得が、不完全な状態で終わっているのです。
英検の問題点
まとめますと、小学生で英検3級に合格していても、「英単語力」「英文法力」「リスニング力」は、すべて「そこそこの実力」です。
では、なぜ「そこそこの実力」になってしまうのでしょうか?
英検が選択問題であるのが一つの理由ですが、もう一つの理由があります。
それは、英検の合格ラインが60%だからです。
60%の合格ラインということは、テストで60点とれば合格ということです。
でも、中学以降の定期テストはどうでしょうか?
60点で満足できるでしょうか?
いえ、そんなことはないですよね。
中学生になると定期テストで、90点以上を目指すと思います。
そして、定期テストは記述テストです。
英検と定期テストの比較を、表にします。
目標 | 問題形式 | |
英検 | 60点以上 | 選択 |
定期テスト | 90点以上 | 記述 |
表をご覧になれば分かるように、「英検」と「定期テスト」と全く別のテストと考えた方が良いです。
わかりやすく言うと、「英検は簡単なテスト」、「定期テストは難しいテスト」です。
簡単なテストである英検合格したからといって、難しい定期テストの点数が取れるわけがありませんよね。
逆に、定期テストの点数が良い人が、英検を受けると合格することができます。
実際に、定期テストで点数が良い中3の生徒が、英検3級を受ければ、ほぼ合格します。
英検の活用法
それでは、英検を受けることは、意味がないのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
英検を上手に活用すれば、英語力がアップします。
それでは、どのように英検を活用するのでしょうか?
それは、英検を「定期テストで良い点数を取る」ための、手段にしないといけないのです。
つまり、英検の位置づけは、目標でなく、あくまで手段にならないといけません。
イメージでは、このようになります。
ここで、次のような声が聞こえてきます。
英検を受ける意味が分からなくなってきた。
究極的に言うと、「定期テストで高得点をとる」ことが目標ならば、英検を受ける意味が全くありません。
「英単語」「英文法」「リスニング」を各々鍛えることが、「定期テストで高得点をとる」ための近道です。
それでは、英検を受ける意味って何でしょう?
その話をする前に、中学生はなぜ英語の勉強をするのでしょうか?
ずばり、英語の定期テストがあるからですね。
定期テストは年に4-5回あるため、それを目標に頑張ることができます。
では、小学生の場合はどうでしょうか?
テストが無い状態で、英語を勉強するモチベーションを保てるでしょうか?
かなり、難しいと思います。
でも、「英検合格」を目指すことによって、子供は頑張れます。
実際に、長男も小学5年生から英語勉強を開始して、2年間で、5級、4級、3級と英検に合格しました。
合格通知が届いた時は、非常に喜んでいて、5級に合格したときには「次は4級」、4級に合格した時には「次は3級」と、目標を設定することができました。
しかし、英検はあくまで「定期テストで良い点数を取るための手段」であって、目的になってはいけません。
そのため、英検を勉強する時に重要なことは、「中学の定期テストで良い点数をとる」ための勉強をきちんとしてから、英検の勉強をおこなうことです。
つまり、「英検の過去問」だけを解いて、英検合格を目指すのをやめましょう。
「英単語」「英文法」「リスニング」の勉強をきちんと行ってから、「英検の過去問」を解きましょう。
まとめ
さて、今回の記事はどうだったでしょうか?
英検3級合格しても、中学の定期テストで良い点数がとれない理由が分かったでしょうか?
繰り返しますが、それは英検が役に立たないわけではありません。
英検を上手に活用していないことが問題なのです。
英検を上手に活用すれば、英語力をアップさせることができます。